優しさに泣いた夜
インド、Salemにて。
ヨガリトリートセンターにてウェブサイトの翻訳ボランティアをしながら滞在していた。
滞在を終えて次の場所へ向かう出発の日、
電車を調べたら夜行しかなくて予約も一杯だった。当日券はあるけど、駅に行ってみないとわからない。インドだからどうせカオスだし、まぁどうにかなるだろうと軽い気持ちでいた。
駅までは歩いて1時間半。オーナーはもう寝ると言ったし、夜遅かったのでタクシーもなかった。同じ所に滞在してるボランティアの友達も心配して、送ってもらうように頼まないのって言ったけど、迷惑をかけたくなかったので、歩いていくよと答えて別れを告げた。
小雨の降る暗い夜道を駅に向かって歩いていた。15分くらい歩いただろうか。突然オーナーと友達が乗った車が僕の前に現れた。
どうやら心配した友達がオーナーに言って僕を探しに来てくれたみたいだ。
「あれ、もう寝たのかと思ったよ」と僕。
そしたら彼は「歩いて行くなんて聞いたら心配で寝られないよ」と。
それはまさにピンチの時に助けに来てくれるヒーローみたいな現れ方だった。
オーナーは昔日本に住んでいたことがあって、その時日本人に色々助けてもらったらしい。だから恩返しをしてるんだよ、と。
なんか申し訳なさと、あまりの優しさに後部座席で泣いた。どうやって礼を言えばいいのかわからず涙だけが出てきた。この経験が出来ただけでもう旅をする価値があったと思えるくらい。
誰かの優しさが回り回って世界を良くしていくんだということを実感した。自分も恩送りしなきゃ。その時に自分には何も返って来なくても、世界のどこかでその優しさを受けとってる人がいる。それって素晴らしいことじゃないか。
一人で全ての世界を変えられないかもしれないけど、自分からしか世界は変えられない。
一滴の雫が水面に落ちて、そこから大きな波動を生み出すような感じ。
夜行列車は予約した方がいいよと言うオーナーのアドバイスに従って、結局その日は帰ってもう一泊することにした。
家に着いて床に就き、今夜のこと思い出したらまた泣けてきた。この先一生大事にしたい温かい涙だった。